(手塚ファンマガジ
ンvol.172掲載)
第1回
高校一年の夏、私は初めて宝塚の手
塚治虫記念館を訪れまし た。阪急宝塚駅
に降り立った時の感動は忘れられません。百貨店に隣接した瀟洒な建物、花の道、煌びやかな宝塚
歌劇場、宝塚ファミリーランド、そして記念館の虹色の窓が目
に入った時の感激!あの日以来私の中では、手塚ワールド=宝塚でした。
その頃に出会った本が別冊家庭画報『もっと知りたい手塚治虫』です。この本によると御殿山に
は今でも旧手塚邸のクスノキや蛇神社、瓢箪池が残っていると
いうではありませんか。ファンとしては是非見てみたい!しかしその頃はゆかりの地を案内してく
れるような親切なガイドマップなどなく、まして土地勘もあり
ません。頼りになったのは一緒に手塚ファンをしていた弟でした。鉄道ファンでもあった弟は地図
を読むのが得意。資料は市販の地図と記念館のG階にあるジオ
ラマ。このジオラマは昭和十五年頃の宝塚を再現しているとのこと。当然のことながらジオラマと
現在の宝塚は必ずしも一致はしないのですが、そこは勘が頼
り。宝塚駅を出発。JRの踏み切りを渡り、ゆるやかな坂を上ること十分あまり。右に曲がると
あった!あった!あのクスノキが。このクスノキ発見が「虫マッ
プ」を作る最初のきっかけとなったのでした。
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