手塚治虫ゆかりの地を訪ねて―

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(手塚ファンマガジンvol.182掲載)
第11回 銘菓プラネタリューム(下)
 


  地下鉄都島駅から徒歩1分。「千成一茶」の文字を見つけ、店内に入るとすぐに銘菓「プラネタリュー ム」が目にとまりました。淡い桃色の箱に星空を描いたブルーの掛け紙。その掛け紙には、かつて手塚先生 が見上げたツァイスU型プラネタリウムが!箱を開け ると、そこにも星空。宇宙にみたてた銀色の包み紙にオレンジ色の土星シール。中のお菓子にも土星の輪が うっすらと広がります。電気科学館で当時販売されて いたクッキー状の菓子から洋風饅頭にアレンジされ、名前も「プラネタリウム」から「プラネタリューム」 とレトロ感のあるネーミングになりました。
  「ここのお菓子が手塚治虫先生ゆかりのものだと聞いてお伺いしたのですが。」というと、店主の大原 時子さんはすぐに奥に行かれ、手塚先生からのお礼状や年賀状、アトムのセル画、新聞記事などを出して見 せてくださいました。で、なんといってもファンとし て気になるのが、「手塚先生からのお礼状」です。便箋2枚にわたって書かれたお礼状はまぎれもなく手塚 先生の筆跡。サインなら目にすることはあっても“手 紙”というプライベートなものはそうそうお目にかかれませんから感激です。その内容はというと、大原さ んがそのお菓子を贈られたことについてのお礼。そし て、かつて電気科学館で販売されていた銘菓プラネタリウムの思い出でした。封筒に押されている消印は昭 和60年12月27日。しかし切手が貼られていませ ん。ご覧のように料金不足のシートが貼られています(笑)。慌てて投函して切手を貼り忘れたようです。 いかにも多忙な手塚先生らしいエピソードではありま せんか。このお手紙は現在、店内に展示されているそうです。

 昔懐かしの素朴なお味。緑茶にも コーヒーにも合うやわら かなお菓子です。手塚少年の宇宙への夢を今に伝える銘菓プラネタリュームのお話でした。


電気 科学館で当時販売されていた銘菓プラネタリウムの掛け紙。大原さんの義父・忠信さんが、電気科学館のあ る四つ橋の情景を墨絵で描いたもの。
 


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