「中津ー 中津ーっ」
『紙の砦』で大寒鉄郎が慌てて下車した阪急中津駅。阪急の中では最もプラットホームが狭い駅です。大阪の
中心地・梅田がすぐ隣りにあるにもかかわらず、
駅舎は古く通路も狭い。なんとも薄暗い雰囲気。阪急電車が走っている線路の高架下は雑然と町工場が並んでい
ます。その高架下の風景は『どついたれ』で、横
井福次郎に諭された高塚修がふらふらと歩くシーンに似ています。
1944年9月から終戦までの間、手塚先生は中津にあった大阪石綿に勤労動員されていました。当時、北野
中学4年生でしたが戦争中だったため2学期3学
期は、ほとんど授業が行われていない状態だったといいます。その中津でのエピソードを描いたのが『紙の砦』
と『どついたれ』です。食べるものといえば粗末
な豆入りご飯。仕事の合間をぬってトイレに四コマ漫画を張っていた、などというエピソードも残っています。
(ただし、その真偽は不明)当時の大阪石綿の場
所がどこだったかはわかりませんが、『紙の砦』で岡本京子と話している草原は淀川の川べりでしょう。そして
「南野中学美術部」とはいうまでもなく手塚先生 の母校・北野中学ですね。
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