手塚治虫ゆかりの地を訪ねて―

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(手塚ファンマガジンvol.183掲載)
第12回 石原時計店訪問記【前編】



 大阪、淀屋橋駅を出るとすぐ大きな「石 原時計店」の看板 が目にとまります。ここの社長・石原実さんは、手塚先生の池田附属小学校の同級生で、実は金三角 のモデル。手塚先生を、昆虫や天体の世界へいざなった方です。昨年、私はその石原実さんにお会いする機会に 恵まれました。

 石原時計店は創業百五十年あまりという大阪でも屈指の老舗。その石原時計店に初めて入れるとあって、私は ちょっとドキドキ…!1階が店舗で、ショーウィ ンドウには高級時計がたくさん並んでいます。「石原ビルディング」と書かれたクラシカルな扉を押して中に入 り、エレベーターで8階へ。8階は「北浜画廊」 となっていました。オフィスはさらに上の9階で、ここからは急な階段をのぼるよう。この階段がまたクラシカ ル!(写真参照)中に入ると歴史を感じる柱時計 が…
 

 石原さんは、いろいろ珍しい写真や手塚 先生の直筆ものを 見せてくださいました。こちらは、手塚先生、石原実さん、アセチレン・ランプのモデル木下平八郎さ んなど同級生がそれぞれサインした寄せ書きです。右上の、春田有文さんは、『モンモン山が泣いてるよ』で登 場した春巻のモデルとなった方。ランプの木下さ んには以前お会いしたことがあるのですが、頂戴した名刺にローソクの絵が描かれていました(笑)。池田附属 小学校は、六年間クラス替えがなく、従って手塚先生はずっとこのメンバーと共に過ごしてきたわけです。
 ところで、この同級生達が出版した一冊 の本があります。 『手塚治虫少年の実像』。2003年4月7日、アトムの誕生日に出版されたこの本は、同じく同級生 の泉谷迪さんが書かれた本で、同級生から見た真の手塚治虫像が書かれています。しかし、泉谷さんはこの本の 完成を待たずして亡くなられました。遺稿をなん とか出版したいと、同級生の方々が尽力され、七年越しで出版に漕ぎ着けたのがこの本なのです。この本の中に は初めて公開された手塚先生のサインやイラス ト、池田附属小学校時代の写真、手紙なども多数掲載されています。その中で印象的なのはP.88に掲載され たイラスト。担任の乾先生宅に集まった同級生メ ンバーの似顔絵を手塚先生が描いたものです。
(次回へつづく)

■株式会社石原時計店 公式サイト
 歴史ペー ジを田浦紀子が執筆いたしました。ま たHPデザインも手がけています。

 


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